オタクのメモ

文章の練習

映画感想文: グレイテスト・ショーマン

www.foxmovies-jp.com

原題 "The Greatest Showman" 邦題「グレイテスト・ショーマン」を見てきた。 これはアメリカで19世紀に活躍した采配師P・T・バーナムの生涯をもとにした伝記、ミュージカル映画だ。 前向きで筋肉質な捉え方が一貫したすんばらしい映画だった。 ここでは、僕が劇場で笑いながら見ていたポイントをお話したいと思う。

もちろんネタバレ上等である。注意して。

"The Greatest Show" Intoroduction

映画が始まってすぐ、派手な色のスーツにシルクハットをかぶった主人公P・T・バーナムが舞台裏からショーの舞台に躍り出るシーンからはじまる。
ここの低く響く足踏みの音が好きだ。この音が腹に響いて今から始まる映画への期待をぐっと引き上げてくれる。
今から始まるのは夢の舞台で彼はその采配師なんだと惹きつけてくれるんだ。

また、これは主人公バーナムが将来に得る栄光の姿を少しだけ見せてくれる。 バーナムは"世界最大のショウ"を人々に魅せつけることで成り上がった成功者である。 だから彼の人生を描くにあたって若き日々の苦痛を前半で描くことになるのだが、 娯楽を求めて止まない僕は彼の困窮する日々を見るのが実に退屈だった。 それでも見ていられたのはこの世界最大のショウのフルパートが見たいからだ。 期待を持たせるすべがすごい。 そして僕の期待を裏切らず世界最大のショウは描かれた。

The Other Side

僕が一番笑ったシーンだ。家で見てたら声出してゲラゲラ言っていたはずだし、 インターネットの性格の悪くて楽しい奴らと一緒に見たかった。
"Come Alive"のシーンを経て一役成功者となったバーナムだが、 彼は金銭的に成功しても人々からの尊敬と上流階級の支持を受けられずにいた。それを克服するために、彼は一人の若者を口説く。 上流階級に強く若くして名誉を得た作劇家フィリップを口説くシーン。

こいつが最高に楽しい。

二人ともチケットを売る大変さで理解し合えるくらいだからお互いの印象は悪くない。 何ならバーナムはフィリップを一見していけ好かない若造とか言っていたくらいだ。 そのバーナムが酒の席でバフィリップを飲み明かしながら誘うのだが、 バーナムは常に対等かそれ以上のように振る舞う。 バーナムはフィリップの上流階級に受け入れられる作劇の才能とコネクションが形振り構わずに欲しいはずだった。 でも、決めるのはフィリップだと常に言い続けながら口説くのだ。 成功と名誉が確約されている若者を口説く悪い大人の姿だ。 しかも名誉を、上流階級どころか一部の市民にも毛嫌いされているバーナムとともに行動することで失う代償に提供したのは何か。 それは冒険だと言う。上流階級とともに行動することでは見られない閉じた世界での成功ではない、開かれた自らの才覚で手に入れた成功を得られると言う。
悪い大人の中でも最悪に近い類の大人の姿が描かれている。

"The Other Side"は一連の流れの歌なのだが、まったく乗り気ではないフィリップがだんだんとその気になっていく姿と 最後には取り分の交渉まで始めてしまう姿が最高だった。

The Greatest Show

僕が最高に楽しみながら見ていたシーンだ。 バーナムが紆余曲折を経て、興行主として舞台に立ち開幕で見せた世界最大のショウを演じる。 始めのパートでは舞台裏から舞台に躍り出るシーンで終わってしまった。 その後のサーカスとしてのすべて、芸をする象、火の輪くぐりをするライオン、歌い子、空中ブランコ、その他 サーカスとして想像されるすべてがミュージカルとしてスクリーンに映し出される。 ひたすらに最高だ。

出来上がっていくサーカスとしての姿

もう一つ感動的だったのがステロタイプとしてのサーカスとしての姿が出来上がっていくことだ。 見世物小屋としてのサーカス、舞台としてのサーカスの姿が段々と僕たちの知るものになっていく。 クライマックス直前に、もっとも象徴的な要素、"巨大なテントを張った下で行われる"と気づいた瞬間に、 ステロタイプの姿が完成し先に語った"The Greatest Show"が始まる。 最高としか言いようがなかった。

細々としたもの

見世物小屋としてのサーカスもわずかに描かれた都合、その時代に抑圧された人々を描いているのだが 彼らをバーナムがどのように待遇したのかも描かれていて印象的だった。